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 パソコンでの作業に一息入れる為に、朝焼けに鼓舞されるがままちゃりんこをこいだ。246から昭和女子大学に折れ住宅街をぐるぐると走る。朝はまだ完全には迎えていない。人の気配が抜け、アスファルトと木々と人の家ら自体が「町」であることを主張する。こちらに越してきて2週間、気を確かめる日が無いまま過ぎていた事に気づく。大学の4年間、上京では無く山ごもりをした時も深夜の津久井街道を気持ちが続く限りちゃりんこを走らせた、大学3年の始めに越した時も大学を越えて、みなみ野、多摩美、橋本と犬のマーキングの様な調子で回った。しかし今のこの町でのこのマーキング行為は4年間のそれらとは少し違った。酷く懐かしさを感じていた。住宅街を走っていると目の前に世田谷公園が表れる。懐かしさのありかを確認した。10年近く前にこの公園に通っていた時を思いだした、噴水、踊り場、平和の灯火、テニス場、プールの入り口、大好きな映画のワンシーンのように目に入るものが全て美しく感じた。朝日の光は出発の時よりも空を明るく綺麗なピンク色に染めていた。そのまま世田谷公園をぬけ、もう一度住宅街に入り、朝が迎えてくれる方角に向かう。まだ目の前に見える住宅街の高級マンションは道路からの光からしか照らされておらず、建物の先っちょは空の暗さに潜んでいた。そうこうしていると祐天寺、中目黒とまた知ったような町が現れ、人がいない町で、自分の中にある人々がいた記憶をたどり、影を感じた。何年も前の記憶だが、断片的に思いだす記憶は先週あった出来事のように思いだす。町の存在感、両脇の公共団地が示す寂しさと「友達」がいる場所と言う感覚、小学生の時の感覚さえも思いだす。そろそろ帰路に着こうと元池尻小学校を過ぎた辺りで、朝空は最高の輝きを見せてくれた、今日見たモノが一度にフラッシュバックして現れ、記憶と皮膚と血液がこの町に合致した、また東京にいるぞ、と。
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